初回3失点で“覚悟”した敗戦…川瀬の劇打に「みんなが救われた」 小久保監督の一問一答

2点差2死走者なしからの「奇跡」…連敗5でストップ
ソフトバンクは2日、ロッテ戦(みずほPayPayドーム)に4-3でサヨナラ勝ちを収めた。2点を追う9回に牧原大成内野手の適時打で1点差に迫ると、なお2死満塁で代打の川瀬晃内野手が左翼に逆転サヨナラ適時二塁打を運び、勝負を決めた。先発の有原航平投手は7回3失点の粘投を見せ、9回を無失点に抑えた3番手の大山凌投手が今季初勝利を上げた。劇的な勝利で連敗は5でストップ。この日取材に応じた小久保裕紀監督の主なコメントは以下の通り。
〇試合前
――野村勇選手、笹川吉康選手ら若い選手の活躍に期待したい?
「いる選手でやるしかないので。吉康はスタメン、野村もスタメンですね」
――野村選手はきのう悔しい思いもした。取り返してほしい。
「取り返すというか、色々と細かいところはあるんですけど。まあ、いつでもいっていい(スタートを切っていい)というサインが出ているときに、いかない選手じゃ逆に困るよという話はしました。アウトになった責任は俺にあるので。お前が感じる必要はないと伝えました」
――苦しい時こそ、キャンプ前に掲げた「愉しむ」「出し切る」「追い求める」の3か条が大事になる。
「そうですね。気持ちの整理の仕方や振り返り方はそこしかない。もやもやするのも健康にグラウンドに立てているからこそ。愉しむ気持ちを根底に持って、感謝の気持ちを忘れずに勝負に場に挑む。あとはプロフェッショナルとしての技術を追い求めていくしかないので。やることはそれだけですよ」
――庄子雄大内野手がプロ初昇格した。
「まだ打球速度は基準に達していないですけど、キャンプのころよりはよくなっているので。課題はずっとスイングスピード、打球速度を上げていくこと。そこが一貫した課題なので」
――走る、守るの部分では1軍レベルにある?
「8割の力でプレーしてきた選手なので。間一髪プレーも余裕のプレーも出力は一緒なので。8割の力でやっていたら、プロとしては厳しいよと。ファームでの課題にはしていました。大学ではそれでもアウトにできていたでしょうけど、足の速い選手はもう一歩前で取らないとセーフになるので。堅実は堅実でいいんですけど、余裕があるところでも10割の力を出せないと頭打ちになるので」
――嶺井博希選手は代打としての期待も大きい。
「1番手でしょう。中村晃がレギュラーの間は嶺井が1番手ですよ」
――故障者が続出する中、補強をお願いしたりは?
「ないですね」
――リチャード選手は2軍でも苦労している。
「映像でしか見ていないし、取り組んでいる内容は分からないですけど、結果と2軍からの推薦があって初めて(昇格を)考えるので。今は山川(穂高内野手)も試合に出られていますし、井上(朋也内野手)もそうですけど、今のポジションで上げるのは難しいですよね。よっぽど打てば別ですけど、こっちに来ても使いどころがないので」
――佐藤直樹選手も好守があったり懸命にプレーしている。
「あいつに限らずですけど、こんなチャンスはないじゃないですか。若い選手で点差が開いた場面で集中力がないなという姿が見えればチャンスを与えないよと。若い選手にとっては試合状況は関係ないので」
――1日の試合では廣瀬隆太選手の3打席目に代打を送った。
「2打席連続3球三振だとね。代打で出した牧原(大成内野手)も3球三振だったけど。あそこはもう1打席あげたほうがよかったかなとも思いましたけどね」
――廣瀬選手は2軍戦も含めると12連戦になる。
「親子ゲームといっても半分だけですからね。寮だから近いですし。僕が2軍監督をやっていた時も6連戦にいつ出させるかは考えていましたね。初めてプロ野球選手としていつ経験させるのかと。正木の最初のころとかは考えてやらせていましたけどね」

サヨナラ勝ち読んだベテランに「頭が下がります」
〇試合後
――2死走者なしからの劇的なサヨナラ勝ち。
「奇跡に近いですね。2アウトランナーなしからつないで。最後に笹川(吉康外野手)に経験を積ませようかと話していたところで、やっぱり勝負で川瀬をいこうと。本当によく打ちましたね」
――川瀬選手を代打で起用した思いは。
「いくなら川瀬しかいなかったので。それか笹川に経験値を積ませるかの選択だったんですけど。本当によくやってくれました」
――連敗を5で止めた試合。どういう意味を持つ?
「有原が初回に3ランを打たれて、今の状況では正直3点のビハインドは非常に重たかったので。みんなが救われた、そういう勝利だったんじゃないかなと思います」
――エースの有原投手も粘った。
「3ランを打たれた後は、しっかり締めてくれましたね。ただ、投手戦に持ち込まない限りはなかなか厳しいチーム状況なので。勝ちはしましたけど、素直に喜んでられる状況ではないですね」
――明日に向けた意気込みを。
「今いるメンバーでどうすれば一番点が入るのか、つながるかっていうことをまた考えてオーダーを組みたいなと思います」
――9回は柳町達外野手や中村晃外野手がしっかりつないだ。
「状態とか関係なく、もう責任感ですよね、なかなか山川(穂高内野手)が機能していないわけですから。その辺は頭が下がりますね」
――川瀬選手は勝負強い打撃が続いている。
「そうですね。スタメンで行った時もあれくらい打ってほしいんですけどね。まあでも、きょうは左の代打の1番手は川瀬だと決めていました」
――3ボール1ストライクから打ちにいった。
「あそこは振りにいってくれた方がよかったです、実は。もう同点止まりというよりは。しかも、スリー、ツーになっていたら外野が定位置に戻るので。多分ただのセンターフライかレフトフライだったでしょうね。その点では(ストライクを)取りに来る球をああやっていってくれたら、あれだけ外野が前にきていたので。可能性が出るかなと思って、打ちにいってほしかったですね。それをミスショットせずに打ってくれた川瀬が素晴らしいです。いるメンバーで必死にやるしかないんでね」
――久々に本拠地で勝った。
「まだ本拠地で3勝目なんで。5月に入って、3月28日に開幕してね。本拠地に足を運んでくれているファンに申し訳ない気持ちでいっぱいなので。これからその分、巻き返せるように頑張ります」
――中継ぎ陣も踏ん張った。
「(ダーウィンゾン・)ヘルナンデス(投手)はどんな状況でも投げるということで話していたので。徐々に自分の良さが戻りつつあるっていうことは聞いているので。大山(凌投手)も最後はバタバタでしたけどね。0(点)で抑えたからこそのサヨナラだったんじゃないですかね」
(鷹フル編集部)