減る支配下枠「感情がぐちゃぐちゃに」 漏らした“やるせなさ”…斉藤和巳3軍監督の胸中

斉藤和巳3軍監督【写真:川村虎大】
斉藤和巳3軍監督【写真:川村虎大】

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

サルディが4回無失点「今までで1番よかった」

 ソフトバンク3軍は15日、タマスタ筑後で行われた四国IL・徳島に5-0で完封勝利を収めた。先発したダリオ・サルディ投手が4回を投げ1安打3奪三振3四球無失点。2番手の田上奏大投手も3回を無安打に抑え、8回からは大野稼頭央投手が2回を無失点に抑えた。

 打線は7回まで無得点に抑えられていたが、8回に一挙5得点。リハビリ中の栗原陵矢内野手が4打席に立ち2安打2四球と実力を発揮した。17歳のデービッド・アルモンテ内野手も2安打と気を吐いた。試合後の斉藤和巳3軍監督の一問一答は以下の通り。

◇◇◇◇◇◇◇

――田上投手のピッチングについて。
「奏大はここ最近、2、3試合いいからね。元々これぐらいのボール投げられる投手なので。キャンプとか色々あって、なかなか状態が上がってこなかったっていうのもあるけど、やっと戻ってきたかなっていう感じかな」

――出力も上がってきた。
「元々このくらいできるから。もうちょいできていたと思うから。ここから少しずつ上がってきてくれたらなっていう感じですね」

――サルディ投手もよかった。
「今まで見た中で1番よかった。サルディの場合は自分で出力を緩めて、ストライクをただただ投げに行くとかがずっと続いていたから。コーディネーターの方も色々話をしてくれて、どんどん目一杯初めから飛ばしていく中で、どういうピッチングができるかっていうのをやっていこうと。そういう課題を持ってやっていたけど、なかなかそれができずにいたから。きょうもイニング間で色々、直接話して『どんどんチャレンジしていこう』と。ランナーが出ても、ボールが続いても、打たれても、結果とか気にせずに、とにかく目一杯チャレンジしようよって感じですね」

――丁寧に行き過ぎるところがある。
「そうそう。持ってるものをなかなか出しきれない状態が去年からね。正直それが続いていたので。きょうは途中怪しいところもあったけど、話をして。そしたら本人も割り切って投げれたので。これをいい方向に持っていってほしいなと思っていますね」

「どの選手にも共通するけど…」選手の焦り

――出力を出さなくても抑えていた。
「もちろんね。でも、どの選手にも共通するけど、やっぱり結果が欲しい、結果出したいっていうのはあるからね。失敗したくないとか、みんなそれは日本人であれ、外国人であれ、みんなあるので。きょうも終わってからのミーティングも、それみんなに伝えて。目先の結果だけにこだわらず、自分の課題をまず試合の中でチャレンジしようっていうね」

――打線は7回まで無得点。
「いいピッチャーが来るとね。結構、ドラフト候補とか、スカウトが少し目をかけている選手が来たりすると。やっぱそれだけのレベルなので。そういうところに対しては、打ち崩すのは難しい状況はもうずっと続いてるので。でも、最低限そういったピッチャーを打っていかないと、なかなか先が厳しいというかね。そこが課題ではあるので。1軍に行きたいって考えると、もっと上のレベルがくるわけなので。まずそういうピッチャーからどう対応するかっていうのはね。それはもうずっと課題です」

――栗原選手が先制点。
「彼には失礼かもしれんけど、やっぱもう流石。ボールの見方とか背中越しで見ていても、ボールに対しての反応とかね。しっかりこう絞り方とか。このレベルのバッテリーは困るやろうなって思う。あの見逃し方はね。打つってことはもう全然わかってるから。それ以外のところ、彼の立ち振る舞いとかね。そこは1軍の選手やなっていう感じは、多分みんな受けていると思う」

――3軍選手にとっては学びの機会。
「ありがたい。そういう選手が来てくれるの。今年、1軍はそれで苦しい思いしているけど、その分、こっちに一緒に練習しにしてくれたりとか、試合出てくれたりとかしてるから。1軍には申し訳ないけど、こちらとしてはすごくありがたい時間。複雑やけど」

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――明日(16日)も3軍戦に出る。
「明日も一応。フルで出る予定はないけど」

山本恵大が支配下…斉藤監督が明かした胸中

――山本選手が支配下。他の選手の意識は?
「うん、正直、変わった選手はね。同じタイプの選手は悔しくは思っていると思う。大泉とかね。同い年で、同じ左の外野手で、もう全部重なる部分があるから。その点は複雑な心境でいたっていうのは、感じ取れたので。少し話はしました。でもこれがこの世界であって。ただチャンスがなくなったわけじゃないんでね。ここで逃げてしまったら何も意味がないので。『頑張ろうや』って話をしましたけど。でも気持ちはわかるので。そういう感情になったということが正解でもあるのでね」

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「何も感じない選手は正直いるんで。そうじゃないよっていう。その他の内野であったり、キャッチャーであったり、ピッチャーであったりね。ポジションは違えど、枠を争ってるのは一緒なので。そこらへんの危機感っていうのは、大泉に関しては年齢がある程度ところまで行っている。経験もあって、そこはやっぱりちゃんと感じている。それ以外の選手はもっと感じなあかんよって。感じてるのかもしれないけどね」

――腐らず4番で適時打を放っていた。
「あの日(山本が支配下登録された)も試合終わった後に残ってバット振ってるから。それからずっと振り続けてるから、今からも振るやろうし。そこは彼の強さというかね。勝負の世界で生きていく上で大事な部分」

「やらんとあかんっていうのはもうわかってる。複雑よね。嬉しい部分もあるから。山ちゃんは今年キャンプからずっとC組スタートで一緒にやっていたし。2軍行って活躍したら嬉しいし、でもこういう選手が出てきてしまうっていうのはすごいこっちとしては複雑やけど。でも、もうこれは全てこっちも受け止めなあかんし。感情ぐちゃぐちゃになる。ならへん方がおかしい。真剣に向き合ってるから。こっちも感情ぐちゃぐちゃになってもこっちがちゃんとしとかんとね」

――気持ちを整理するために監督が意識していることは。
「情に流されないように。『大丈夫、大丈夫』とかそんなんじゃなくて。そん時も『やらなあかんねんから』っていう話はするし。本人はきつかったと思うよ。1日、2日。今もきついかもしれん。別にルールはないけど、徹底して。厳しく接するわけではない。頑張らなあかんていうことだけは絶対に。諦めないっていう。こっちも諦めていないから。諦めさせたくないし」

(川村虎大 / Kodai Kawamura)