大逆転での開幕1軍滑り込みなるか 佐藤直樹が取り組む今宮健太直伝の“脱力打法”

ソフトバンク・佐藤直樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・佐藤直樹【写真:藤浦一都】

小久保2軍監督からは「掴み取れよ。(2軍に)帰ってくるなよ」と送り出された

 快音を響かせた打球が、左翼のホームランテラス席へと消えていった。大逆転での開幕1軍への滑り込みへ、可能性を膨らませる先制3ラン。1軍合流した25日の広島とのオープン戦(PayPayドーム)で、即結果を出してアピールした佐藤直樹外野手へ、藤本博史監督も「守備と肩、足っていうところでは全く問題ない、ウチでもトップクラスなんで、これで打つ方がよかったら使えそう」と高評価を与えた。

 チームとしても欲している右打者。オープン戦残り2試合と競争も最終盤になって、ファームで状態を上げていた佐藤直に白羽の矢が立った。小久保裕紀2軍監督から「掴み取れよ。(2軍に)帰ってくるなよ」と送り出されて挑んだ昇格初戦でいきなり結果を残し「残り1試合、出遅れていたんで明日もしっかり内容のいい打席にしていきたい」と目をギラつかせた。

 1月下旬に鏡視下腹腔鏡虫垂摘出術を受け、キャンプイン直前に離脱となった佐藤直。筑後でのリハビリ生活を経て少しずつ状態を上げ、競争に割り込んできた。打撃の状態が上向いてきたのは、昨秋に受けた今宮健太内野手からの助言が生きていた。

 今宮から教わったのは打撃での脱力だ。どうしてもボールを打ちにいく時に力が入る悪癖があった。昨季、キャリアハイの成績を残した今宮から力を抜いたままの打法を教わり、明石健志2軍打撃コーチと共に“脱力打法”に取り組んできた。

 止まった状態から打ちに行く“静から動”ではなく、構えの状態でも腕や体の一部を常に脱力したまま動かして打ちに行く“動から動”へと意識を変えてきた。自身の中でも、21日からのウエスタン・リーグ阪神3連戦で「ボールはいい感じに見えています」と手応えを感じていた。

 1軍の右打者では外国人のウイリアンス・アストゥディーヨ内野手、コートニー・ホーキンス外野手、正木智也外野手、増田珠内野手が開幕1軍を争っていたが、ここに佐藤直も割って入る形に。藤本監督も「明日もう1回試して。(滑り込みも)当然ありますよ、まだ決まってませんから」と可能性を示す。開幕1軍へ残り1試合。最後の最後、大まくりはなるか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)